(前回のあらすじ)
早期退職の再募集を確信し、「辞めさせてもいい社員」を演じながらFIRE準備を進めていた俺。 資産もテスラ株へ集約し、着々と「その時」へ向かっていた。
まだ第1話を読んでない人はこっちから読んでみてな。

俺がFIREする半年と少し前のことや。
直属の上司が異動になり、新しい上司がやってきた。
もうすぐ辞めるつもりやのに、またイチから人間関係を作るのは、正味めんどくさい。
しかも、新しい上司は俺よりかなり年下やった。
この会社で若くして管理職になるヤツは、大抵2つのタイプに分かれる。
部下の手柄を横取りするタイプか、パワハラまがいに部下をめちゃくちゃ働かせるタイプか。
どっちにしても、社畜競争でチャンピオンになったヤツに決まってる。
「今までよりもっとやってるフリせなあかんのか……、ハア( ;´Д`)。」
溜息が出た。実際に一緒に働くまでは。
いざ一緒に働いてみると、彼は全然違った。
若くして管理職になってるから野心家ではあるんやろうけど、現場にしょっちゅう出てきて、部下と一緒に汗をかいてくれる。
本社から降りてくる無駄な仕事はうまく調整し、現場を全力で守ってくれる。
現場の課題を解決するために一緒に悩んでくれる。
正直、出世したかったら部下の手柄を自分の手柄にしたり、現場で営業する暇あったら社内営業した方が効率的なんやと思う。
どこの世界でも出世したい人は大抵そうしてるもんな。
でもその上司はそうじゃなかった。
心の中で「うわ〜、どうしよ!?」と悩んだ。
こんなにちゃんとした上司を裏切ったまま辞めたら、FIREしても一生後悔が残るやんか。
俺は、少し考えを変えざるをえんかった。
「この上司がいる間だけは、もう一度ガッツリ仕事しよ。FIRE前の思い出作りや。」
そう決めてから、俺は元々枯れていた仕事のモチベーションをムリやり10倍に上げた。
ドラゴンボールの孫悟空みたいや。
もちろん、社内向きの出世のための仕事は一切やらん。
現場で数字を上げるための仕事、それだけに魂を込めることにした。
FIREという20年来の夢を棒に振るわけにはいかんからな。
でも、真っ当な上司を裏切ってFIREするなんて俺のプライドが許さなかったんや。
第3話へつづく。


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