中国というと、「衰退していく」「もうすぐ経済が崩壊する」といったネガティブな内容のことを論じる経済アナリストや政治学者がとても多いのが現状です。
インターネットでも書籍でも日本のメディアのほとんどは中国に対しネガティブな論調であるため、日本では自然と中国が衰退していると勘違いする人が多くなっています。
しかし実際は全くの逆で、中国は近年も目覚ましい発展を遂げており、産業も活発で将来も非常に有望な国の代表格なのです。
中国で製造される製品の質がどんどんよくなっているのに気づいている人もいるのではないでしょうか。
代表的な製品といえばスマートフォンです。
HuaweiやOPPO、Xiaomiといったスマートフォンが日本に参入してきていますが、どれも非常に品質が高く、価格は安めで良い商品です。
また自動車についても中国で製造されている自動車のなかには先進的なものが出てきています。
BYD製のバスは京都市バスなどに採用されていますし、NIO(上海蔚来汽車)やBYTON、Xpeng(広州小鵬汽車)、Lucid Motorsなどの電気自動車を見ているとかつての「パクり自動車」の面影は全くありません。
身近な商品をみても、Amazonなどで販売されているノーブランドの商品には中国製のものが非常に多いですが、中には想像以上に安くて良いものがあります。
スマートフォンやEVに限らず、日本に入ってきていないものも含めて中国製品はあらゆるものの品質が非常に高くなっており、もはや日本企業のほとんどは価格だけでなく品質においても太刀打ちできなくなりつつあるのです。
あと何年かすれば、日本人でさえ国産メーカーよりも中国メーカーの自動車や家電製品を好んで購入するようになっていても全く不思議ではありません。
日本人として出来れば国産メーカーには頑張ってほしいと思いますが、中国メーカーの製品を少し使ってみるとそのように思えて仕方ありません。
中国の国際的な立ち位置
中国は高い経済成長を継続しながら国際的にも重要な地位を確保しつつあります。
1971年には国連安保理常任理事国の座についており、2001年にはWTO(世界貿易機関)加盟、また近年国際経済的に重要度が増しているG20にも加盟しています。
豊富な人口
中国は2020年現在、世界総人口の18.9%にあたる14億3千万人と世界一の人口を誇ります。
さらに、中国の国籍を持ったまま海外に居住している”華僑”と呼ばれる人達が約6000万人ほど存在しており、彼らは独自のネットワークを持っていて中国とともに巨大な経済圏を構築しています。
この豊富な人口によって、中国は華僑を含めた「内需」だけでもかなりのGDPを生み出すことができます。
まだ沿岸部と内陸部では大きな格差がありますが、内陸部の購買力がついてきてさらに内需の伸びが大きくなっていくとものすごい経済規模の国になる可能性を秘めています。
中国の経済成長率
中国はアメリカに次いで世界第2位の経済大国になった現在でも以前として高い経済成長率で成長しています。
中国の2019年のGDP成長率はプラス6.1%だったと発表されています。
これは実に29年ぶりの低水準であり、これをもって日本では
「中国の経済成長は終焉した」
「中国は崩壊に近づいている」
といったような論調がされることが非常に多くあります。
たしかに、成長率ということでみるとここ数年の中国は減速を続けているのですが、それまでの数十年間において高い経済成長率を出しています。
こちらは、1980年以降の中国の経済成長率の推移です。
1980年 | 1990年 | 2000年 | 2010年 |
7.91% | 3.89% | 8.52% | 10.56% |
1981年 | 1991年 | 2001年 | 2011年 |
5.1% | 9.3% | 8.36% | 9.5% |
1982年 | 1992年 | 2002年 | 2012年 |
9.0% | 14.2% | 9.15% | 7.9% |
1983年 | 1993年 | 2003年 | 2013年 |
10.8% | 13.9% | 10.02% | 7.8% |
1984年 | 1994年 | 2004年 | 2014年 |
15.2% | 13% | 10.15% | 7.3% |
1985年 | 1995年 | 2005年 | 2015年 |
13.5% | 10.92% | 11.37% | 6.9% |
1986年 | 1996年 | 2006年 | 2016年 |
8.9% | 9.9% | 12.72% | 6.73% |
1987年 | 1997年 | 2007年 | 2017年 |
11.7% | 9.2% | 14.25% | 6.76% |
1988年 | 1998年 | 2008年 | 2018年 |
11.2% | 7.8% | 9.65% | 6.57% |
1989年 | 1999年 | 2009年 | 2019年 |
4.2% | 7.7% | 9.4% | 6.14% |
経済規模が第2位になり大きくなったことで成長率でみるとここ数年は低下してはいますが、それでも6%以上の成長率を維持しています。
また、そもそも率だけで経済成長を比較するのはナンセンスです。
中国のGDP規模は世界で2位であり、上にはアメリカしかいないのです。
そんな経済大国が他の発展途上国と同じような成長率を目指す必要はもうないのです。
では、経済規模を示すために日本のGDPと比較してみましょう。
2019年の中国のGDP総額は99兆865億人民元でした。
2020年現在の日本円にすると約1515兆円になります。
日本のGDPはここ20年以上ほとんど変わらず約500兆円ですので、中国はすでに日本の約3倍のGDPを誇る経済大国になっているのです。
1500兆円のGDPで年間約6%成長するということは、金額で言うと90~100兆円毎年成長しているということになります。
なんと、日本の約5分の1相当のGDPが毎年増えていっているのです。
1500兆円という規模においてもまだ年間6%以上成長している中国と、3分の1の500兆円で何十年もGDPが変わっていない日本となら、どちらに経済的な勢いがあるかは一目瞭然ですね。
この経済規模になっていながらまだまだ上積みが期待できるのが中国の魅力です。
一帯一路構想
ご存知のとおり、習近平国家主席が2013年から打ち出した構想です。
中国から中央アジアやヨーロッパを中心に陸路、海路を結ぶルートで、貿易を活性化させることで中国と各国との経済成長に繋げる構想です。
中国からは電子機器や自動車関連部品、繊維類などをアジアやヨーロッパに運び、ヨーロッパからは主に食品類が中国に運ばれていて近年の貿易量は非常に伸びています。
また、食品や工業製品だけでなく原油や天然ガスなどを輸送するパイプラインも造られていて、中国が複数のルートからこれらの天然資源を輸送できるようにしています。
米中貿易戦争の影響やいわゆる”債務のワナ”問題などで構想を見直す必要が出ているところも中にはありますが、全体とすればこの一帯一路構想の恩恵を受けられる国は多くありますので、この構想は今後も進んでいくと見られています。
人民元のSDR採用
2016年10月にIMF(国際通貨基金)が中国の人民元をSDR(特別引出権)通貨バスケットに採用しました。
SDRというのはIMFが1969年に創設した国際準備資産のことで、それまでの準備資産だった米ドル・ポンド・ユーロ・日本円の4通貨に加えて5番目の通貨として人民元が加わりました。
このSDRへの採用基準というのは、以下の2点が採用基準になっています。
①世界経済の中で中心的な役割を果たす国であるということ
②国際取引で広く使用されて自由に利用が可能な通貨であるということ
要するに、人民元だけでなく中国という国の国際的な信用の向上が約束され、通貨価値の向上にもつながるということで、世界の中の中国の存在感が強まることに貢献する出来事なのです。
滬港通・深港通
もともと上海A株市場と深センA株市場は国内投資家しか取引することができませんでした。
これは中国政府が人民元の海外流出を防ぎ人民元のレートを安定させたいからで、外貨を取り込むためには両取引所にB株という別の市場を創設しています。
しかし上海A株市場は2014年に上海・香港ストックコネクト(滬港通)が、深センA株市場も2016年に深圳・香港ストックコネクト(深港通)が導入され、全銘柄ではありませんが海外の投資家の取引が可能になっています。
こうして中国株の海外からの自由な取引が徐々に可能になっていくにつれて、今まで国内のみで取引されていた株のある意味歪んだ価値が国際基準で判断されて見直され、正しい価値で取引されていくようになる過程で大きく上昇していく銘柄も出てくると思われます。
正しい中国の姿を見れば本当に魅力的
約14億人の人口と6000万人以上の華僑、地理的な優位性、世界有数の貿易黒字国、高い産業技術力、、、なにを見ても魅力的なのが中国です。
唯一、懸念をあげるとすれば欧米の金融戦略によって株価を強制的に抑えられている可能性があり、中国の有力企業の正しい価値が反映されない状態が続くことくらいです。
また欧米を中心に、自国メディアの中国に関する報道は基本的にネガティブなものばかりです。
これらは全くのウソばかりではありませんが、ネガティブな視点で報道したりマイナスなところを強調したりするなどプロパガンダ的にやっている可能性があります。
日本でもそうですよね。
それが原因かどうかはわかりませんが、中国株の多くは2020年現在も非常に割安に放置されています。
正しい価値が反映される日が来るとしたらまさに今、高い価値があるにもかかわらず放置されている有力企業の株を購入することができるチャンスです。
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